2016/01/07

善玉・悪玉

「善玉菌を増やさないと」

と言うと

「私悪玉が多いんです」

と、たぶんコレステロールと勘違いしている人が多い昨今、この善玉、悪玉、というのはもともと江戸時代のキャラクターらしい。(微生物学者光岡知足氏が腸内細菌に名付けたとのこと)


国立国会図書館にアーカイブがある。



昭和50年代後半、中学校の文化祭で有志が「折り紙の展示をしよう」と企画をしておりました。
するとN君のお父様がわざわざ国立国会図書館に行ってくださり、江戸時代の折り紙に関する文献をコピーしてきて下さった。その中には、精緻で美しい折り紙の展開図が多数描かれており、「江戸時代は遅れてる」という我々の先入観を吹き飛ばすに十分であった。
インターネットのない時代にものを調べるのは骨が折れる事だろうに国会図書館に行って検索してくださるとはお父様カッコ良すぎ。我々が身に着けるべき教養とはなにか、という事を思い知らされたし、江戸時代の人々の知性は我々が目にする簡単な「折り紙の本」とはまた別次元のもので、温故知新の重要さを学んだのであった。
ここ10年は折り紙が盛り上がりを見せ、芸術作品が作られるようになり隔世の感がある。

このような経験があり、国会図書館にものを調べに行く大人になりたい、と願っていたけれど、面倒くさがりなので行かずに終わりそうではある。話が脱線したけれど悪玉・善玉の原典はデジタルアーカイブですぐに見つかる。良い時代です。

元になった本は、

しんがくはやそめぐさ【心学早染草】 

黄表紙。山東京伝作。北尾政美(まさよし)画。1790年(寛政2)刊。3冊。人間の行為はすべて内にある善魂(ぜんだましい)と悪魂(あくだましい)のなすわざであることを,商家の息子目前屋理太郎の身持ちの上にあらわすという作意。悪魂のしわざによって放蕩したことから勘当され,盗賊にまで落ちたが,善魂の勢力挽回によって教化されるという,黄表紙としては理屈くさい作品であるが,善悪の魂の争闘と,理太郎の行動とを二重の画面にあらわしたおもしろさで好評を博した。(世界大百科事典)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1018497/184

ということなんですが、わかるでしょうか。黄表紙というのは大人向け絵本で1775年以後に流行したものらしい。1冊5丁で2-3冊セット、それがたいてい正月に刊行される、という事で、これをお正月のご挨拶としようと思った次第。



どうやら悪玉が人気だったらしい、と聞けばなんだか現代と同じじゃないですか。

本年もよろしくお願いします。