2014/04/06

消化器内科ニュース2014年3月

○プロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期使用すると、低カルシウム血症(骨折の増加)、低マグネシウム血症、C.Difficile感染症の増加、肺炎の増加につながる。

<個人的な意見>その通り。PPIを不必要に「効かせすぎている」場合がかなりあるなあという感想。背景の萎縮、HPの有無、PPIを使用した時のpHなどを総合してフォローできる医療機関は多くはないだろう。イノセントにPPIを処方すべきではない。胃粘膜の様子で「ああ効かせすぎているなあ」というのは胃底腺ポリープの増え方、粘膜のべたつき、白さ、などで自分は判定している。

○大腸内視鏡検査の普及で大腸癌激減(アメリカで年3%減少)

<個人的な意見>便潜血検査での予後の延長は、「たまたま大腸がんじゃなかったけれどポリープはとった」人が将来大腸がんを発症しないからであるようだ。大腸ポリープに関しては乳がん、肺がんで見られるような過剰診断が有害になる、という事象が少ないため、積極的な検査が受け入れられるようになるのではなかろうか。みなさん便潜血検査は真面目に受けるように。

○イギリスではリンチ症候群の患者が適切にフォローされていなかった。

<個人的な意見>リンチ症候群の診断基準は新アムステルダム基準で「3人以上が家族内でHNPCC関連癌の確定診断を得ており、その内のひとりは他のふたりの一度近親者である。連続した2世代で罹患している。ひとり以上の50歳未満でのHNPCC関連癌患者がいる。家族性大腸ポリポーシスは除外されている」というものですが、これで素人の方がわかると思いますか?50歳以下で、大腸がんになった近親者がいる場合は医師に相談してください。間違ってもリンチ症候群を知らない医師にかかってはいけません。

○国際肝炎会議2014開催

<個人的な意見>HIV研究のおかげでRNAウイルスに対する種々の対策が開発され、C型肝炎に関しては特にその恩恵を受けています。スクリーニングに関してもより積極的に行われるべきでしょう。

○小腸腸内細菌異常増殖症(SIBO)とはなにか

<個人的な意見>あんまり良く病態が理解されていないこの病気。私も腹部単純で小腸にガスがある人や、IBSの一部、腹部術後の一部、ガスコンを飲むと調子が悪い人々、脂肪肝のある人々の一部、などがこれに含まれると思っていますが、アメリカでは盛んに抗生物質が投与されているらしく。あとはプロバイオティクスでしょうか。個人的には便移植の適応ではないかなと。

○ネオジム磁石の誤嚥事故が増えている

<個人的な意見>大変危険なので注意喚起したいところ。

○ヨーロッパでUC、クローン病に対するVedolizumabが推奨。

<個人的な意見>TNF-α抗体の次の薬剤。IgGに対する抗体。作ったのは武田薬品です。

○慢性C型肝炎ウイルス感染の治療における新規薬、オーラルヌクレオチドNS5Bポリメラーゼ阻害剤、Sofosbuvirの有効性と安全性

<個人的な意見>インターフェロン不要の薬剤です。かなり期待されているのだとか。

○種々のインターフェロン不要のC型肝炎治療で高い治癒率

<個人的な意見>このあたりのスピード感すごい

○ヨーロッパで低ナトリウム血症治療ガイドラインがアップデート

<個人的な意見>これ読んで下さい。→(リンク) 塩入れるなよ!というような事が書いてあります。

Medscapeから

2 件のコメント:

  1. Salz! Sachen. Schrieb.!!!!!

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    1. 上手く返せないのが悔しい♪

      ちなみに大学時代、 塩之入洋先生(ACEIおよびARB時代を予見した先生)の授業を受けていたんですが、失礼ながらドイツ語でお名前を呼ばせて頂いておりました。圧巻の授業というのはあのことを言う、と思いました。

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