2010/07/10

骨盤内癒着

他院で大腸内視鏡が入らなかった、という人の内視鏡をしますと、
ほとんどが骨盤内にS状結腸のどこかが固定されているケースです。
私が苦手なのは腸管と腸管が癒着しているケースですけれど、これは滅多にない。

骨盤は臼状の空間ですけれど、この中には膀胱と(女性器と)直腸しかなくて、骨盤と大腸がついていても、それが原因でイレウスになったりはしない。だから「癒着がある」と表現はしますが、患者さんは心配しなくて良いわけです。

最初90度左にひねって入ると、骨盤の背側に沿ってスコープが進むことになり、ここから右に回転させながらスコープを引き、そのまま内腔が追従してくる場合には骨盤内癒着があっても簡単に入ると確信できます。この場合初心者に任せても確実に盲腸まで到達できます。むろん短い腸の場合、この操作が必要がない事も多くて、その場合は当然すいすいと到達できます。

さて、一定の割合で追随してこないのですが、このときには骨盤内癒着があり、しかもそれが自然ではない場所、という事になります。この時には基本的にαループを作るために左回転で入ると良いでしょう。そして癒着を超える前から一回、二回と短縮を試みると患者さんは痛がらないでしょう。目の前の襞が妙にひきつれている場合は、逆αが適当かも知れません。その場合は普通に入って左回転で短縮を試みます。

S状結腸はこのように簡単です。この人は難しい、とすぐにわかるのでお勧めの手技です。難しい人をどうやって入れるのかは、そりゃ、実力なのですが、簡単なのに入らない、時間がかかる、というのはもったいないことです。

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