2009/08/24

便潜血陽性

便潜血検査は、その感度が期待されているスクリーニング検査です。

大腸癌を見つけるための検査です。

偽陽性が多くたって良いのです。偽陰性が困るんです。

便潜血検査が陽性だからといって、大腸癌ではありません。それは偽陽性が多いと言う事です。陽性でも間違ってる事が多いという事です。それで良いんです。

そして便潜血検査が陽性であれば、若干大腸癌である可能性があります。感度は決して高くはありませんが、500円だし患者さんに侵襲がない検査なので許されます。

便潜血検査は感度だけが期待されている検査です。(統計のマジックがあって、癌から見てしまうと、感度特異度ともに高くて、さぞ使える検査という風に解釈ができますが・・・)したがって、便潜血検査で、(+)、(-)となったときに、「癌があるとは思えないから、じゃあもう一度便潜血検査をしてみましょう」便潜血が陽性になったので再検査をしてください」という人は、全く統計というものがわかっていません。もし再検査が陰性になり、それを陰性と判定するのであれば、そもそも便潜血検査を行った事自体が間違いです。最初から陰性にしたいのならば、検査をしなければいいのです。(+)、(-)となった時点ですでに陽性なのですから、それ以上繰り返す事は無意味です。

最初から大腸の精密検査を受けたくない、あるいは検査をしてあるとか、全身状態が悪くてそもそも検査の適応がないのならば便潜血検査はしない、受けない、これが重要です。

では80歳以上の高齢者や、30歳以下の若年者、あるいはワーファリンなど抗凝固療法中の方に便潜血検査を行う事が適当なのでしょうか。これについては偽陽性率、偽陰性率、感度、特異度、多くの統計では除外されている母集団ですから算定不能で、ノーコメントとします。

一方、特異度、感度ともに高く、偽陽性、偽陰性が少ない大腸内視鏡検査後に便潜血検査を行う事も無意味です。大腸内視鏡検査が100%でない事は認めますが、便潜血検査にはそれを覆すほどの説得力はありません。

すべての検査には、必ず偽陽性、偽陰性などの側面があります。それを知らずに検査の予定を立てたり、要らぬ心配をしたりすることはやめた方が良いと思います。

2 件のコメント:

  1. ★反省致します。。

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  2. kema先生、無目的に網羅的に検査を行う市の健康診断や人間ドックを揶揄しております。陽性が出たからと相談されるお医者さんは、患者さんと同じ立場となってしまうでしょう。

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